タンナの物語風ライフログ

タンナの人生を物語風に伝えるブログ。

タンナとy先輩が秘密にしてること。

あの日、勇気を出さなかった臆病者の私に乾杯!!

 

(特定回避のため少しお話を変えています)

 

ちょっとヤバい、元気な先輩

私とy先輩との出会いはまさに偶然。

本来では起き得ないような出会いだった。

 

当時私は高校一年生。

幸運なことに友達にも恵まれて、毎日ふざけ合う生活を送っていた。

 

ただ、放課後の過ごし方に少し問題があった。

友達はバリバリの運動部だったのに対して私は帰宅部だった。

友達の部活が終わるまで図書館で本を読んで、友達が迎えに来たらそのまま帰るという残業代目当ての居残り社員みたいな時間の過ごし方をしていた。

 

ただ、本を読むのも好きだったし一緒に買える時間ですらすごく楽しかったので文句はなかった。

 

 

その日もいつもと同じように時間をつぶして友達と待ち合わせて、歩きながら帰る途中だった。

友達がコンビニによりたいと言い出したのでコンビニの入り口で待っていたら、友達が大きな声で「お疲れ様です!」とあいさつをし始めた。

 

挨拶をした方向を見ると、女の先輩らしき人がこっちに向かって歩いてきた。

遠くから見てもむっちりとしているのが分かるほど体格が良い女性だった。

 

それはいいのだが、目を見張るのはその服装。

全然サイズの合ってない学生服のズボンに某有名ブランドのジャージの上着を着ていた。

更に痛んだ髪質の長髪をまとめてポニーテールにしてて、靴はなぜかクロックス。

 

今はどうか知らないが、当時の私の学校で女性でズボンをはいている人はほとんど見かけず、帰るときは高校の制服を着て投稿するのが一般的だった。

その事実から、私がその人の服装を見て驚いたのも理解してもらえると思う。

 

 

話を聞くと友達の部活動の先輩らしく、かなり横柄な態度を友達に取っていた。

その様子を見てドン引きしていた私を先輩は見て「お前も○○部に入らないか?!」と聞いてきた。

 

話しかけられると思ってなかったので首を横に振るジェスチャーを繰り出すだけで何も会話にならなかった。

先輩はそのままコンビニに入って買い物をしていた。

 

向こうからしたら印象に残らない出会いだろうが、私にとっては忘れるに忘れられない出会いだった。

 

 

その後友達が帰ってきて、そのまま分かれた。

 

私は友達とは別の遠くの地域から来ていたので電車に乗るため駅に向かっていた。

夕方の遅い時間だったのでちらほら会社員の方々が駅から降りて家に帰り始め、特別会話をする相手もいないので黙って歩くのがルーティーン。

そんなルーティーンの最中、私のすぐ横をハンドルを上げた状態のママチャリに乗った人が通り過ぎた。

 

危ない馬鹿がいるもんだなとひやひやしていると「ねぇ!ちょっと!へいへい!」と大きな声で話しかけられた。

絡まれたのかなと思って前を見ると、なんとその先輩だった。

 

なんとその先輩も遠くの地域から来ていて、帰り道が同じ方向だったようだ。

偶然さっき話した奴がいるからと声をかけてみたらしい。

 

見た目からわかっていたが、私の知っているどの人間よりも理解ができないとわかった。

 

先輩はそのまま自転車で走り去ると思ったら自転車から降りて私と一緒に駅に向かって歩き始めた。

 

 

私はしどろもどろになりながらも先輩の話す話に相槌を打っていた。

図らずとも傾聴の姿勢となり、それがいい気分になったのか先輩の話は終わらない。

やれあいつが真面目に部活をしないとか、やれ昼食の時の大騒ぎるする集団が嫌いだとか。

 

私も適当に相槌を打って「先輩も大変なんすね」と言ったら、急にこっちの方を向いて「アタシ!yって言うんだ!二年生ね!」と強引な自己紹介を開始。

返す刀で「私はタンナって言います…」と自己紹介し返した。

 

こうして私たちの関係性がスタートした。

 

 

 

学校で無重力状態な先輩

春から夏に季節がうつろいで行くにつれいろいろと先輩のことが分かってきた。

 

私は単なるちょっと反骨精神のある人だと思っていたが、どうやらそれどころではないそうだ。

何せ、たった一年で彼氏が10人変わったというのだから驚き。

たった6クラスしかないのにそれだけ付き合えば、関係もぎくしゃくするんじゃないかと思っていたら案の定その通り。

 

かなり学年から浮いているそうで、友達は片手で足りる程度。

さらに彼氏の中には先輩もいたらしく、三年生からも大変評判が悪かった。

 

男癖が悪いだけならまだわかるが、その上素行も悪かった。

時折、おっかない学生指導の先生から名指しで校内放送で呼ばれていたりしたりと、話題に事欠かない。

 

少なくとも、全く先輩方とかかわりのない私がそれらのうわさを耳にするぐらいには悪評が轟いていた。

 

 

正直好きになれそうにないタイプだと日に日に思うようになった。

当時の私は異性間の付き合いに厳しい価値観を持っていた、理由は自分がモテないから!

 

やっかみ半分にモテる女性や男性を茶化していた。

これがまったく知らない人なら、なんとも思わない。

だが、友達が異常にモテるのでことさら感情に熱が入った。

 

で、y先輩はもろにそういうタイプ。

ただ、完全にカテゴライズできるかというと微妙だった。

 

まったく関係ない私にも優しくしてくれるし、あまり男女の壁を作らない人なのか私にいきなりギューッと抱き着いてきたりした。

その時、抱き着かれても胸の感触は分からないもんだなと思った。

 

二人だけで話す関係性があったからかもしれないが、とにかくy先輩のことを嫌いに離れなかった。

 

 

 

まさに爆弾みたいな先輩なのだが、不思議と高校時代を通して非常にいい距離感をもって関われた。

それは、先輩と会うのが誰も歩いてない駅までの帰り道だったということもある。

 

 

y先輩は正直嫌われていて、他の先輩に気に入られたかったら彼女に話しかけてはいけない雰囲気ができていた。

私も他の生徒にもれず、彼女の人権よりも自分の体裁を大事にしたかったので、その雰囲気に従った。

 

だから先輩も学校外でしか私に話しかけなかった。

 

 

その後も程よい距離感でy先輩の話を聞く関係が彼女の卒業まで続いた。

そしてついにお別れの日。

 

評判から察するにとてつもなく頭が悪いと思っていたy先輩だが、信じがたいほどの行動力と部活動での功績によって大学に進学することになったそう。

当時、私は大学に進学するつもりはなかったのでどこの大学とかまでは聞かなかった。

 

ある日の帰り道、突然「タンナ!あんた文章上手だからあたしに手紙書いてよ!」と唐突にお願いされた。

あんな先輩でも意外と乙女なところもあるんだなと思って、真剣に書いた。

 

 

数日後手紙を手渡すと、彼女は受け取った時の表情がとても素敵な笑顔だった。

まるで朝顔が咲いたみたいな。

あまりにも美しかったので「先輩って素敵な笑顔をするんですね」と伝えた。

 

恥ずかしかったが、どうせもう会うことはないと思っていたのでお別れの挨拶代わりに伝えた。

 

すると、彼女は「今更気が付いたのかよ!おっせーんだよ!」と言って肩を殴ってきた。

そして「もうちょっと早く言ってよね」と呟いて、私の手を自分の頬につけた。

生まれて初めて女性の頬を触った瞬間だった。

 

 

 

そのあと変な空気になりつついつもより少し長めに話して「アタシ一人暮らしすっから遊びに来いよ!」と遊びのお誘い。

当時17歳、社交辞令がどういうものなのかを理解し始めていた、

もちろん私は遊ぶ約束をした、ただそのつもりはなく「かつてこういう人と遊ぶ約束をした」と言う思い出が欲しかったのかもしれない。

 

卒業してからも合うことはなく、そのままサヨウナラする予定だった。

 

 

 

また駅。

先述した通り、私は大学に行くつもりはなかった。

が、先生に課外活動を褒められ続けていたので推薦をもらえた。

かなり悩んだが、進学することに。

 

そして、卒業。

大した恋愛沙汰もなく毎日友達と遊んですごした高校生活だった。

 

 

高校生活から一転大学では頑張ろうと毎日図書館に通って勉強をすることにした。

毎晩遅くまで図書室に入り浸りつつバイトをする生活。

中々に充実していた。

 

相変わらず、女っけはなかったがそれでも我を忘れるほど楽しいもの。

毎日夜遅く……いや、朝早くまで食事会を楽しんでいた。

 

 

そんなある日、夜遅くまで遊んでて終電を待っていると、肩を叩かれた。

振り向くとy先輩がいた

「やっぱり!タンナじゃん!」彼女は分かれた時と変わらない笑顔で話しかけてきた。

 

かれこれ二年ぶりの再会だった。

彼女は相変わらず奇抜な服装をしていて当時ではかなり先進的な全身黒コーデを決めていた。耳にはおぞましいほどの量のピアスで長い黒髪の先端は金色に染まっている。

 

そして手にはシンプルな指輪がはめられていた。

 

 

 

話を聞くと先輩はここの近くに住んでいようで私のバイト先の近くだった。

久方ぶりの再会にテンションが上がり、そこで再びいい距離感の関係性に戻った。

 

彼女は変わっていなさそうだったが、私の内面は変化を遂げていた。

その頃の私は勉強に教会と忙しかったとはいえ、人並みに性欲がある。

加えて彼女もいなかった、あまりにも奥手すぎたから。

 

 

とは言え、高校時代とは違い大学内で異性の友達はできたものの、もう一歩踏み込めなかった。

 

 

しかしy先輩はその一歩を軽々と入ってくる。

だから指輪を確認したのにもかかわらず、どうしても異性として意識してしまった。

ただ向こうからしたら、ただの後輩だからそんな意識ないとわかっている。

 

だから、それ以降もいい感じの距離感を保ちつつたまにあって会話をしていた。

 

 

 

当時でもスマホで連絡を取ることが普通だったが、先輩も私もガラケーだったので連絡先を交換せずにいた。

ただ、連絡好感してしまうとこの微妙な距離感が壊れてしまいそうで私から連絡先を渡すことはしなかった。

 

 

 

月日が流れて、夏にまた会った。

すると突然「一緒に夏祭りに行こう!」と誘われた。

 

千載一遇のチャンスと思ったが、どうしてもバイトが入ってたので無理だと伝えた。

それに彼氏がいる事は指輪から推測していたので「彼氏と行ってください」と駄々をこねる先輩を跳ね返した。

 

彼女はいたずらっぽい笑顔を見せて「バレてたか!」とはにかんだ。

 

すぐに秋になり私の勉強の忙しさもバイトと両立できるかギリギリのところまで来ていた。

だから駅に行く機会が減少。

y先輩と会わない数か月を過ごし、一抹の寂しさを実感。

 

冬に差し掛かり、ちょっと私生活も落ち着き始めていたので、バイト先の後輩を誘って駅近くのゴハン屋さんに行くことにした。

 

後輩は女性だったのでこじゃれた店に入店。

すると、先輩と彼氏が近くでご飯を食べていた!

 

私たちは一応目で会釈したが話すことはしなかった。

 

 

そのあと先輩と会うことはなく、そのまま年を越した。

 

 

 

お部屋とお風呂。

 

年始の地獄のような忙しさを乗り越えて、大吹雪の中電車を待っているとy先輩が一人で歩いてきた。

お互いに気が付き挨拶すると、yさんは「電車運休になりそうだよ」と伝えてくれた。

 

家からバイト先まで遠かったので、こまってネットカフェに泊まろうとしていたら先輩が「うちに泊まり来いよ」とお誘い。

相変わらず強引だったが、正直行く当てがなかったのでそうすることに。

 

 

先輩の住んでいる部屋は見た目通りの部屋で、v系のアーティストのポスターがたくさんあった。

 

 

ただ、先輩自体はすごく親切で、ご厚意に甘えてお風呂まで使わせてもらった。

内心ドキドキしつつお風呂から上がると先輩も寒かったようですぐ入浴を開始。

 

私は先輩がが入浴している間テレビを見ることに。

緊張しながら見ていたが、なかなか興味深いテレビで見入ってしまった。

集中していると、まだドライヤーの音が終わってもないのにドアが開く。

 

すると、バスタオル撒いたままの先輩が床に座って長い髪の毛を乾かし始めた。

きっとこういう生活スタイルなんだろうなと思った私は特に触れないことに。

 

正直なことを言うと目のやり場に困ったが、テレビという武器があったのでそれを見て知らんふりを決めた。

 

 

その後、むりやり部屋飲みに付き合わされることになった。

どうやら愚痴がたまっているらしい、なんでも彼氏と喧嘩しているようで今後の付き合いを考えているとのこと。

 

私はその時すでに先輩の彼氏とも知り合っていたので「別れない方がいい!今までのダメ彼氏のことを考えたらその程度何でもないはずだ!」といって説得。

 

議論は平行線だったが、妥協点が見つかった。

しかしそのころには、お互いにべろべろに泥酔。

 

私は床に寝そべり休んでいると先輩はすぐ横にあったベットに入床。

しばらくしてから私は電気を消して休んでいた。

 

 

それが床が硬く寝付けない。

苦しんでいると、先輩がベットから出てきて私の体をゆすった。

 

目を開けて先輩の方を見ると涙目。

ぎょっとして「どうしたんですか?!」と聞いた。

 

すると「寂しいから一緒に…」と言ってベットの方を指差した。

私は頭が働いてないこともあったが、冷静に絶対に手を出さないことを誓い一緒のベットに入った。

 

毛布の中で、体が密着していたので彼女の体温も体の重さも幅もすごく伝わってきて心臓が壊れそうに。

彼女の寝息も何もかもその晩だけは愛おしいと思えた。

 

しかし結局何もなくそのまま朝を迎え、そのまま帰宅。

 

 

こうして、モテないタンナ千載一遇のチャンスは高潔な精神によって自壊した。

 

 

秘密の共有

それ以降、y先輩とは何もなく普段通りに過ごしていた。

なんだったら、彼氏の方と仲良くなりすぎてそっちの方をよく知ることができたぐらい。

 

そして先輩カップルは卒業、と思いきや卒業したのは彼氏の方でy先輩は知らない間に大学を退学していた。

 

私もアルバイトが激烈に忙しくなってその後先輩とは合わなくなった。

 

 

 

 

それから数年後、社会人も慣れてきて普通に働いていた。

私生活でごたごたがありすぎて他の人のことなんて考えられない状態ではあったものの地元に帰って遊んだりできる余裕はあった。

 

その日も適当に外を歩いていると、数年ぶりに、あの駅でy先輩を見かけた。

今までと違って落ち着いた長い青色のスカートにワイシャツとカーデガン。

自慢の長い髪の毛は黒髪ショートヘアーになっていた。

体は少しやせていた。

 

 

先輩も変わったんだと思い、いつもは話しかけられていた私だったけど驚かせたくて話しかけた。

「あの、先輩…!」

「おっタンナじゃないか!よっ!久しぶりだな!」

 

その後はつもる話があったのでお茶をしに喫茶店に入店。

 

そこで身の上話を聞いていると「今度彼と結婚するんだ!」とうれしい報告。

「え~おめでとうございます!」とお祝いをした。

 

そのまま思い出話に花が咲いて、出会いから今に至るまでいろいろ話した。

そしてy先輩から「今度海外に転勤することになって私もついていくんだ!」と伝えられた。

 

せっかく会えたのに寂しかったが事情が事情なだけにどうしようもない。

悲しい気持ちにさせたくなかったので、元気に送り出そうと駅まで歩くことに。

 

 

 

その道中で「あの夜のこと覚えている」と聞かれた。

私は「えぇ、覚えてますよ、だれにも話したことありませんが」と答えた。

 

「あの日タンナから好きだって言われたら別れようと思ってたんだあ」

いつもの素敵な笑顔でそう答えた。

 

 

あぁ!あの日ちょっと勇気を出して想いを伝えればこの人と恋人になれたのか!

そう思うと悔しくてたまらないが、彼女の幸せな笑顔を見て悔しさは消えて自分への賞賛が脳内を支配した。

 

あの日勇気を出さなかった臆病者の自分に乾杯だ!!

 

 

 

そんなことを私が考えているとも知らない先輩はまだ笑っていた。

ここまで話し合える関係性になれたなら、それでもいいかな。

 

本気でそう思えた私は「そうですか、じゃあ好きだって伝えなくてよかったです」と言って笑った。

 

 

そして彼女とお別れをして、その後はあってない。

海外に渡った直後でコロナウイルスが世界を襲った、一応高校の頃の同級生に聞くとまだ海外で生活しているとのことだ。

 

それだけ遠かったら、もう会えないかもしれない。

サヨナラの一言でも言えばよかったな。

 

だけど、もし、私の願いが叶うならあの駅でまた再開したいな。

 

 

 

 

 

 

小話

昨日の記事からぶっ続けで書いた。せっかく体力温存のために文字数を減らしたのに普段の倍以上の一万二千文字書いてしまった。でも、こういうちょっと素敵なお話を書いてみたかったのでこれでいいのだ。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます🫏

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